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第54卦 雷沢帰妹(らいたくきまい)


sidebar_position: 54 hide_table_of_contents: false hide_title: true slug: /iching/54-lei-ze-gui-mei sidebar_label: 雷沢帰妹(らいたくきまい) title: 第54卦 雷沢帰妹の詳説 description: 雷沢帰妹(らいたくきまい)は『易経』六十四卦の第54番目の卦です。本文は、雷沢帰妹の卦象、卦辞、爻辞、核心象義、万物類象、古籍原文とよくある質問を整理しています。 keywords:

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  • 雷沢帰妹詳説
  • 周易

第54卦 雷沢帰妹(らいたくきまい)

雷沢帰妹は、『易経』六十四卦の第五十四卦で、上震下兌の組み合わせ、雑卦に属します。未婚の少女が嫁ぐこと、非嫡出の婚姻、正道を失うことを象徴し、震が上、兌が下で「沢(さわ)の上に雷有り、妹(まい、娘)が姉に従って嫁ぐ」象となります。核心要義は “沢の上に雷有り、帰妹、君子以って永終を以て敝(へい)を知る” です。これは、少女が従順に嫁ぎ、礼に適えば吉であり、正道を失えば凶、常に終わりを守り弊害を防ぐことを示し、中平の卦に分類されます。婚嫁においては必ず正しい位を守るべきであり、順序を失えば必ず弊害を招くという法則を明かしています。

卦象と卦辞

卦象

雷沢帰妹
第54卦 · 上震下兌 · 沢の上に雷あり
上卦:震 ☳下卦:兌 ☱五行:木・金(震は木に属し、兌は金に属す)
雷沢帰妹が示す道を象徴しています。

卦辞

帰妹:征(いくさ)は凶なり、利有る所無し。

解釈: 帰妹は未婚の少女の婚姻を象徴し、出征(力による進出)は凶であり、何ら利益がないことを示します。これは、婚姻がその正しい位(あり方)を失い、強いて求め動けば凶となり、正しい道に合わないことを行えば利益にならないという寓意があります。

爻辞

  • 初九(しょきゅう): 帰妹 娣(てい)を以てし、跛(は)にてよく履(ふ)む、征(いくさ)は吉。

帰妹 娣を以てし、跛にてよく履む、征は吉。
解釈: 少女が脇室としての付き添い(娣)として嫁ぎます。それは、足が不自由でも歩くことができるようなもので、出征(ここでは前進)は吉です。位は低くとも分を守り、本妻ではありませんが、その役目を尽くして進めば吉祥となります。

  • 九二(きゅうじ): 眇(すが)めどもよく視(み)る、幽人(ゆうじん)の貞(てい)に利あり。

眇めどもよく視る、幽人の貞に利あり。
解釈: 片目が見えにくいが、一部は物を見ることができる。奥ゆかしい人が正道を守ることに利があります。中正の位にあって自分を顕わにせず、内に正道を守り、外に向かって目立つことを求めません。

  • 六三(ろくさん): 帰妹 須(しゅ、須臾とも、しばし)を以てし、反(かえ)って帰して娣を以てす。

帰妹 須を以てし、反って帰して娣を以てす。
解釈: 少女が嫁入りの機会を待ちながら正妻の座を求めますが、結局は退けられて脇室(娣)として嫁ぐ結果になります。居る位置(立場)が正しくなく、本来の身分以上の地位を貪るため、最終的に自分の居場所を失います。

  • 九四(きゅうし): 帰妹 愆期(けんき)し、遅(おそ)く帰する時有り。

帰妹 愆期し、遅く帰する時有り。
解釈: 婚姻の時期を過ぎてしまい、嫁ぐのを遅らせて機会を待ちます。軽率な縁組みを急がず、時を待って動くことで、その正しさを失いません。

  • 六五(ろくご): 帝乙(ていいつ) 妹を帰(かえ)す、其の君(きみ)の袂(たもと)、其の娣の袂の良さに如(し)かず。月 幾望(きぼう)すれば、吉。

帝乙 妹を帰す、其の君の袂、其の娣の袂の良さに如かず。月幾望すれば、吉。
解釈: 殷の帝乙(ていいつ)が娘(妹)を嫁がせますが、正妻(姫君)の衣裳の袖は、付き添いの姫(娣)の袖の美しさに及びません。月がほぼ満ちている(しかし満ちてはいない)状態であれば、吉祥です。尊い地位にある者が謙虚で質素であり、飾りよりも徳を重んじ、中正の位を守り礼に適っています。

  • 上六(じょうろく): 女(じょ) 筐(きょう、かご)を承(う)けて実(じつ)無し、士(し) 羊(ひつじ)を刲(さ)いて血(ち)無し、利有る所無し。

女 筐を承けて実無し、士 羊を刲いて血無し、利有る所無し。
解釈: 女性が神への捧げ物の入ったかごを捧げ持つが中身が無く、男性が羊を屠るが血が出ない。何事も利益を得ることはありません。祭祀(儀式)の中身が伴わず、名目と実態の両方が失われており、物事を進めても成功しません。

核心象義

帰妹の卦は、上卦の震が長男、動きを表し、下卦の兌が少女、喜びを表しています。本来は、少女が長男に嫁ぐ正しい組み合わせですが、この卦では多くが付き添い(娣)、脇室、時期を過ぎて嫁ぐなどの象で、行いが正道を失い、本末転倒し、相容れないものを強く求めることを象徴します。人の事象における、婚姻の順序が乱れること、側室が付き添って嫁ぐこと、行いがいい加減で一時的なものであること、身を低くして補佐に徹することなどに対応し、正しく礼に従えば吉であり、位を失って強く求めることや、軽薄に順序を無視し、名実が伴わなければ凶害や弊害を必ず招くという警告を与えます。

帰妹卦の六つの爻は、すべて婚姻に礼を尊ぶことを巡って展開されます。初九は娣として嫁ぎ足が不自由でも歩むことで吉となり、九二は目が見えづらくても物を見分け隠者は正道を守って吉となり、六三は正妻を待ち望んだが結局は娣として嫁ぎ、九四は婚期を逸しても時を待ち、六五は帝王の娘を嫁がせるに謙虚な徳で中道を守り吉となり、上六は祭祀の中身がないため事を成せません。全体の核心は 「沢の上に雷有り、帰嫁(きか)が正道を失う、永終を以て敝(へい)を知る」 ということにあります。

万物類象

  • 卦の性質: 雑卦。上が動き、下が悦び。少女が長男に嫁ぎ、婚姻が正道を失う。
  • 五行: 木・金(震は木に属し、兌は金に属す)
  • 方位: 東方と西方
  • 時と季節: 春の末、雷動き沢が応じる・陰陽が交わる時
  • 人物: 少女、側室(てい)、脇室、時期を遅らせて嫁ぐ女性
  • 身体: 肝・胆、肺、足、目。気血の不調和、位や順序の乱れを示す
  • 動物: 羊、雉(きじ)、沢(さわ)に棲む鳥類
  • 器物: 竹かご(きょう)、祭祀の器、婚礼の礼器
  • 場所: 婚礼を行う場所、東方の雷の地、西方の沢の地
  • 人の事柄: 婚姻が順序を失う、側室が付き添って嫁ぐ、身を低くして行動する、名実が伴わない
  • 色彩: 青色、白色、赤色
  • 五味: 酸味、辛味
  • 数目: 三、四、二

古籍原文

卦辞爻辞

帰妹: 征凶、無攸利。
初九: 帰妹以娣、跛能履、征吉。
九二: 眇能視、利幽人之貞。
六三: 帰妹以須、反帰以娣。
九四: 帰妹愆期、遅帰有時。
六五: 帝乙帰妹、其君之袂、不如其娣之袂良。月幾望、吉。
上六: 女承筐無実、士刲羊無血、無攸利。

彖伝

《彖》曰:帰妹、天地之大義也。天地不交、而万物不興。帰妹、人之終始也。説以動、所帰妹也。征凶、位不當也。無攸利、柔乗剛也。

解釈: 帰妹は天地の間の大きな道理(義)である。天と地が交わらなければ、万物は起こり興らない。人の婚姻嫁娶は人間社会の終始(終わりと始まり)の事である。悦びに動き、これによって少女が嫁ぐとなる。進んで征すれば凶となるのは居る位置(関係)が適当でなく、利の無いのは柔らかさ(陰)が剛さ(陽)の上にのるからである。

象伝

《象》曰:沢上有雷、帰妹。君子以永終知敝。

解釈: 沢(さわ)の上に雷あり、これが帰妹の卦象である。君子はこの象を手本として、常に終わりを全うし、あらかじめそれがたどり着く弊害を知っておく。

《象》曰:

  • 帰妹以娣、以恒也。跛能履吉、相承也。
  • 利幽人之貞、未變常也。
  • 帰妹以須、位不當也。
  • 愆期之志、有待而行也。
  • 帝乙帰妹、不如其娣之袂良也。其位在中、以貴行也。
  • 上六無実、承虚筐也。

解釈: 付き添い(娣)として嫁ぐというのは、永続する道理を守ること。 足が不自由でも歩み進んで吉となるのは、上の者を助けて補佐し受け継ぐことである。 隠者の正道に利があるというのは、変わらぬ恒常の徳を失わないことである。 機会を待ちながら嫁ぐことを求めるというのは、その地位が適切ではないからである。 婚期を誤ることへの考えというのは、待つことがあって初めて行動を起こすことである。 帝乙が娘を嫁がせるに、衣装が付き添い娘のそれに及ばないということは、その位が中正にあって、貴い品行をもって行うことによる。 上爻の無実というのは、中身の空(むな)しいかごを受け取ることである。

よくある質問

帰妹の卦は吉か凶、どちらを示しますか?

答: 帰妹の卦は中平の卦に分類されます。礼と正道を守り、謙虚・質素に自らの役目を尽くせば吉となりますが、地位を失って強く求めたり、柔(陰)が剛(陽)の上に乗ったり、名実が伴わなかったりすれば凶になります。

帰妹卦の「永終を知敝(永終を以て敝を知る)」とはどういう意味ですか?

答: 物事を行うにあたり、最初から最後まで恒常的に守り通し、その過程で起きうる可能性のある弊害や問題点をあらかじめ見通して把握しておく、という意味です。弊害を予防し、正道を守ることです。

帰妹卦はどのような場面に適合しますか?

答: 婚姻に際して礼を守ることや、身分を低くして(目立たず)補佐すること、時を待って行動を起こすことなどに適合します。自分の本分以上の地位を強く求めたり、軽はずみに行動したり、名実が伴わない状況には適合しません。

占いで帰妹の卦が出て、恋愛や婚姻について問うた場合、どのような啓示がありますか?

答: 自らの分を守り礼に安んじることを大切にし、貪らず強く求めないことです。六五爻の示すように謙虚な徳が吉となり、九四爻のように機を待つことが吉となります。反対に六三爻や上六爻のように正道を失ったり中身がないことは避けるべきです。

帰妹の卦と漸(ぜん)の卦はどのような関係ですか?

答: 漸の卦は順を追って段階的に進むこと(順序正しい進展)や女性が正しい相手に嫁ぐことを主としますが、帰妹は順序を失った仮合わせや少女が本妻ではない形で嫁ぐことを主とします。この二つの卦は互いの綜卦(上下を逆にすると相手の卦になる)の関係にあり、一正一失、つまり「一つの方は正道を示し、もう一方は失道を示す」関係、さらに一漸一驟(いちぜんいっそ)、つまり「一つの方は漸進し、もう一方は急進(一足飛び)」の関係にあります。