第3卦 水雷屯(すいらいちゅん)
sidebar_position: 3 hide_table_of_contents: false hide_title: true slug: /iching/03-shui-lei-zhun sidebar_label: 水雷屯 (すいらいちゅん) title: 第3卦 水雷屯(すいらいちゅん)の詳細解説 description: 水雷屯は『易経』六十四卦の第三卦で、上卦が坎(かん)、下卦が震(しん)であり、万物の初生、困難なスタート、力の蓄積と基礎固めを象徴します。本記事では屯卦の卦象、卦辞、爻辞、核心的な象義、万物類象、古籍の原文とよくある質問をまとめています。 keywords:
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- 屯卦 解説
- 周易
第3卦 水雷屯(すいらいちゅん)
水雷屯は、『易経』六十四卦の第三卦であり、上卦が坎(水・険)、下卦が震(雷・動)の組み合わせで、雑卦に属します。剛と柔が初めて交わり、陰陽が生まれ始める様を表し、万物の創始、困難なスタート、萌芽と苦境を象徴します。その核心的な教えは 「雲雷屯、君子以て経綸す」 であり、主に創始期の困難、時機を待つこと、基礎固めを意味し、中吉の卦とされます。これは天地が交わった後の万物初生の第一卦であり、物事のスタート段階における困難な力の蓄積と、着実な基礎固めの完全な法則を明らかにしています。
卦象と卦辞
卦象
卦辞
屯:元亨、貞に利(よ)ろし。用(もち)いるに攸往(ゆうおう)有る勿(なか)れ、侯(こう)を建つるに利ろし。
訳: 屯卦は万物の初生を象徴し、根源的で、通じやすく、正道を守ることに利があるという性質を備えています。この時は軽率に行動すべきではなく、自らの立場を守り、力を蓄えるべきです。基業を打ち立て、基礎を固めるのに適しており、諸侯が国を立てるように根本を固めることに似ています。
爻辞
- 初九: 磐桓(ばんかん)、貞に居るに利ろしく、侯を建つるに利ろし。
磐桓(ばんかん)、貞に居るに利ろしく、侯を建つるに利ろし。 訳: 創始の時期はためらい進まず、力を蓄え様子を見るべきです。静かに正道を守り、妄動しないことが有利であり、この時は基礎を築き、力を蓄えることに専念すべきで、成功を急いではいけません。
- 六二: 屯如(ちゅんじょ)邅如(てんじょ)、馬に乗り班如(はんじょ)す、寇(こう)に匪(あら)ず婚媾(こんこう)す。女子貞にして字(じ)せず、十年にして乃(すなわ)ち字す。
屯如(ちゅんじょ)邅如(てんじょ)、馬に乗り班如(はんじょ)す、寇(こう)に匪(あら)ず婚媾(こんこう)す。女子貞にして字(じ)せず、十年にして乃(すなわ)ち字す。 訳: 進むことが困難で行き詰まり、車馬が旋回して進みません。これは賊が襲来したのではなく、求婚のためです。女性が正道を守って嫁ぐことを望まず、十年を経てようやく嫁ぐことに同意します。これは創始段階では時機がまだ到来しておらず、辛抱強く待ち、強要してはならないという寓意です。
- 六三: 即鹿(そくろく)して虞(ぐ)無し、惟(ただ)林中に入るにのみ。君子幾(き)す、捨つるに如(し)かず、往けば吝(りん)有り。
即鹿(そくろく)して虞(ぐ)無し、惟(ただ)林中に入るにのみ。君子幾(き)す、捨つるに如(し)かず、往けば吝(りん)有り。 訳: 鹿の群れを追いかけるが、道案内の者がいなければ、ただ広大な林の中に迷い込むだけです。君子は機を見て行動し、盲目に追いかけるよりは、むしろ諦めるべきです。無理に行こうとすれば窮地に陥るだけであり、創始者は冒進せず、困難を知って退くべきであるという警告です。
- 六四: 馬に乗り班如(はんじょ)す、婚媾(こんこう)を求む、往けば吉、不利無し。
馬に乗り班如(はんじょ)す、婚媾(こんこう)を求む、往けば吉、不利無し。 訳: 車馬が旋回して進まないが、誠意を持って求婚する。この時に赴けば必ず吉祥であり、不利なことは起こりません。これは創始段階で積極的に賢才の助力を求め、外部の力を借りて困難を突破できるという寓意です。
- 九五: 其の膏(こう)を屯(た)む、小貞は吉、大貞は凶。
其の膏(こう)を屯(た)む、小貞は吉、大貞は凶。 訳: 膏沢(資源、恩恵)を蓄え込む。小事において正道を守れば吉祥を得られますが、大事においてそうすれば凶となります。これは創始段階では小さなことから着手し、経験を積むべきで、大きすぎることを求めたり、盲目的に拡大したりしてはならないという警告です。
- 上六: 馬に乗り班如(はんじょ)す、血に泣きて漣如(れんじょ)たり。
馬に乗り班如(はんじょ)す、血に泣きて漣如(れんじょ)たり。 訳: 車馬が旋回して進み難く、悲しみのあまり血の涙を流して泣き続ける。これは創始段階で進退を知らず、ひたすら強引に求めれば、最終的に絶体絶命の窮地に陥り、痛ましい失敗を招くという寓意です。
核心的な象義
屯卦は、上卦の坎が水・険を表し、下卦の震が雷・動を表します。険の中で動くことから、万物の初生、天地が草昧(そうまい・未開)の状態であることを象徴し、万事のスタートには困難と危険が伴います。人事においては、起業の初期、事業のスタート、学問の啓蒙、新しい物事の創始に対応し、主に困難な力の蓄積、慎重に時機を待つこと、基盤の構築を意味し、冒進してはいけません。
屯卦の六爻は、創始期の困難を中心に展開します。初九はためらって力を蓄え、六二は行き詰まって時を待ち、六三は困難を知って退き、六四は賢才を求めて助力を得、九五は小さなことを守り大きなことを避け、上六は極限まで行き着き悲境に陥ります。全体の核心は、創始期は安定を重んじ急進を忌み、経綸(事業の計画・運営)によって混乱を治め、基盤を固める必要があるということです。
万物類象
- 卦性: 雑卦、陰陽相交、動中有險
- 五行: 水木(震は木に属し、坎は水に属す)
- 方位: 震は東に位し、坎は北に位す。主に北東の方角。
- 时序: 冬の終わりから春の初め、寅月・子月、甲乙壬癸の年月日時
- 人物: 長男、中男、創始者、啓蒙者、起業家、困窮している人
- 身体: 足(震)、耳(坎)、肝・腎、血液。主に風寒、筋骨の不調。
- 動物: 龍、馬、鹿、水中生物
- 器物: 車馬、竹木の器具、水具、縄
- 場所: 山林、ぬかるんだ土地、雷雨の場所、創始の場、啓蒙の学堂
- 人事: 困難なスタート、ためらい躊躇、啓蒙と知識の追求、起業と基礎固め、険の中で進むこと
- 色彩: 青、黒、緑
- 五味: 酸味、塩味
- 数目: 三、四、一、六(先天数、卦数)
古籍原文
卦辞爻辞
屯: 元亨、利貞。勿用有攸往、利建侯。 初九: 磐桓、利居貞、利建侯。 六二: 屯如邅如、乘馬班如、匪寇婚媾。女子貞不字、十年乃字。 六三: 即鹿無虞、惟入于林中。君子幾、不如舍、往吝。 六四: 乘馬班如、求婚媾、往吉、无不利。 九五: 屯其膏、小貞吉、大貞凶。 上六: 乘馬班如、泣血漣如。
彖传
《彖》曰:屯、剛柔始交而難生、動乎險中、大亨貞。雷雨之動満盈、天造草昧、宜建侯而不寧。
訳: 屯卦は、剛と柔の二気が初めて交わり、困難がそれに伴って生まれることを象徴し、危険の中で行動するが、正道を守れば大いに通じます。雷雨が交わって天地に満ち溢れ、万物が創始の蒙昧(もうまい・無知)な状態にあるため、基業を打ち立て、基礎を固めるのに適しています。不安はあるものの、生気が内包されています。
象传
《象》曰:雲雷屯、君子以経綸。雖磐桓、志行正也。即鹿無虞、以従禽也。君子捨之、往吝窮也。求而往、明也。屯其膏、施未光也。泣血漣如、何可長也。
訳: 雲が立ち込め、雷が轟くのは屯卦の象であり、君子はこの象を見て天下を治め、事業を計画すべきです。それはちょうど糸を整えるように創始期の混乱を整理するようなものです。ためらって進まなくても、志と行為は正道を守っています。鹿の群れを追いかけるのに案内役がいないのは、盲目に行動しているからです。君子が放棄を選ぶのは、無理に行けば窮地に陥るだけだと知っているからです。誠意を持って積極的に助力を求めるのは、賢明な行いです。膏沢を蓄え込むのは、恩恵を施す時機がまだ到来しておらず、影響力が限られているからです。血の涙を流して泣くのは、窮地が極限に達した状態であり、長く続くことはあり得ず、やがて転機が訪れるでしょう。
よくある質問
屯卦は主に吉か凶か?
答: 屯卦は中吉の卦です。吉は基礎固めと力の蓄積にあり、凶は冒進と焦りにあります。創始期に正道を守り、着実に前進すれば吉ですが、成功を急ぎ、盲目的に行動すれば凶となります。全体としては、最初は困難でも後から容易になる卦です。
屯卦の「利建侯」とはどういう意味ですか?
答: これは、創始段階では基礎を固め、目標を定め、チームを組み、枠組みを確立するのに適しているという意味です。諸侯が国を立てるように、まず根本を固めてから発展を図るべきで、外への拡大を急いではいけません。
屯卦はどんな五行に対応しますか?どんな場面に適していますか?
答: 屯卦の五行は水木(震は木に属し、坎は水に属す)です。事業の創始、学業の啓蒙、新プロジェクトの立ち上げ、チーム編成などのスタート類の場面に適しています。過激な投資、盲目的な拡大、遠方への冒険などには適していません。
事業について屯卦が出た場合、どんな示唆がありますか?
答: 事業について屯卦が出た場合は、スタートが困難で障害があることを示し、ためらって力を蓄え、慎重に前進する必要があります。まず基礎を固め、冒進してはいけません。六四のように積極的に賢才を求めれば吉ですが、六三のように盲目的に突き進めば悔いが生じ、九五は小さなことを重んじ大きなことを避けるべきです。
屯卦と蒙卦の違いは何ですか?
答: 屯卦は万物が初生する際の困難であり、事業や物事のスタートにおける行き詰まりと基礎固めに重点を置いています。蒙卦は啓蒙と無知の困難であり、認識や学業における愚昧と教化に重点を置いています。両者とも困難を主としますが、一つは「事の始まり」、もう一つは「知の始まり」です。